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「鼻炎用内服薬」と「眠気防止薬」を同時にお買い求めの場合、どのように対応すればよいですか?

成分の重複や副作用など、併用リスクが複数あるので、それを踏まえて対応する必要があります。

質問

先日、「プソイドエフェドリン配合の鼻炎カプセル」と「エスタロンモカ(成分:カフェイン)」をお求めのお客様が見えました。 どちらもレジアラートが出る対象の商品になっています。

鼻炎薬が「濫用等のおそれのある医薬品」に該当するため、その確認に続き、エスタロンモカについて情報提供しようとしたところ、イライラした様子のお客様は「もう面倒だから鼻炎薬だけでいい!」とそれだけお求めになり帰りました。

この状況を踏まえて、4つ質問したいことがあります。

  1. 「鼻炎用内服薬」と「眠気防止薬」、併用がありうる使い方なのでしょうか?
  2. 2つ一緒に販売しても問題ない事例だったのでしょうか?
  3. どんなリスクが考えられるでしょうか?(カフェイン過剰?血圧上昇?)
  4. 併用不可と判断した場合、代替品はありますか?

回答

【村松】

本事例の懸念点を整理すると、以下のようになります。

  • 成分の重複:鼻炎薬にカフェインが配合されている場合、併用によりカフェイン過剰摂取となるおそれがある
  • 副作用:プソイドエフェドリンもカフェインも「不眠」「動悸」の副作用がある
  • 禁忌事項:どちらの薬も持病のある人に関する禁忌事項が多く、それぞれについて確認が必要である
  • 薬機法:プソイドエフェドリンが「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されており、説明義務がある
  • その他のリスク:カフェインは連用による依存性がある

これを前提として、各質問への回答は次の通りです。

「鼻炎用内服薬」と「眠気防止薬」、併用がありうる使い方なのでしょうか?

添付文書上は併用可能ですが、薬学的観点では成分の重複や副作用の懸念があるため、避けた方がよいでしょう。「時間をずらして服用する」などのアドバイスが有効です。

2つ一緒に販売しても問題ない事例だったのでしょうか?

法律上は販売しても問題ありません。しかし、お客様の適正使用が難しいと判断した場合には、「よりリスクの低い代替品の販売」などを検討する必要があります。

どんなリスクが考えられるでしょうか?

冒頭で説明した通りです。

併用不可と判断した場合、代替品はありますか?

風邪による鼻炎(急性鼻炎、鼻風邪)の場合、「第一世代の抗ヒスタミン成分の商品」であれば「エスタロンモカ」との併用は問題ないと考えられます。

一方、アレルギー性鼻炎であれば、「ステロイド点鼻薬」「第二世代の抗ヒスタミン成分」であれば、「エスタロンモカ」との併用は問題ないと考えます。

村松早織

薬剤師。登録販売者の資格取得や法定研修などを行う会社を運営中。