受診したがらないお客様には、どのように対応したらよいですか？
傾聴の姿勢が大切ですが、人の行動変容には時間がかかります。種をまくつもりで対応しましょう。
私が困っているのは「受診したがらないお客様への対応」です。 病院に行くのが面倒、病院の薬が効かなかったなどの理由でご来店される方、持病をお持ちの方などに受診勧奨をしても聞く耳を持ってもらえないことが少なくありません。 結局私が売り場を離れてもしばらく売り場に残り、適当に市販薬を選んで購入されてしまうこともあります。 適当なものを選ばれてしまうぐらいなら、比較的リスクの低い市販薬をおすすめした方がよかったのか悩みます。
受診が必要なお客様への対応のポイントを教えてください。
【村松】
まずは、なぜ受診したくないのかを具体的に聞いてみることが大切です。
たとえば「病院に行くのが面倒」というケースでは、よくよく聞いてみると、「何科に行っていいかわからない」「待たされる」「先生と相性が悪い」などいろいろな理由があります。「何科に行っていいかわからない」なら、具体的に「行くべき科」を伝え、「待たされる」なら、（完璧に時間通りにとはいかなくても）事前にスマホで予約できる病院があることを伝えるなど、お客様の「めんどくさい気持ち」を少しずつ片付けるお手伝いをしてみてください。また、「先生と相性が悪い」なら、「そこの病院は先生はおひとりしかいないんですか？」と話を広げてみて、お客様の気持ちをほどいていきます。本当はよい病院が紹介できればよいですが、「よい病院」は主観なので難しいですね。
それでも、お客様の気持ちをほどいているうちに、「あなたがそこまで言うなら行くよ」と思っていただける可能性があります。
また、他人の考えや行動をすぐに変えるのは困難だということも覚えておきましょう。ただし、その瞬間はこちらの助言を聞き入れていただけなくても、種をまいておくことで、後からこちらの助言が身に染みることもあります。 こちらの助言を無視してご自身で市販薬を購入される方もいますが、質問者様がそこまで気にする必要はありません。「自分の義務は果たした」と気持ちを切り替えて、次のお客様対応に移ってくださいね。
以下のコラムも参考にしてください。 ※「医薬品を正しく選ぶ教室」のサイトに遷移します
【接客の質問】
受診勧奨しても聞いてくれないお客様、どうしたらいい？ https://lounge.dmm.com/detail/8191/content/37454/
村松早織
薬剤師。登録販売者の資格取得や法定研修などを行う会社を運営中。
鈴木伸悟
薬剤師。書籍の執筆や全国各地での講演を通してOTC医薬品の正しい知識を発信中。